Where form meets making
形と制作が出会う場所
このスツールの制作では、手仕事だけに価値を置くのではなく、
機械と人の手をどのように組み合わせるかもまた、設計の一部として考えた。
座面は、中村が作成した3Dモデルをもとに、デジタル制御のCNC加工によって木工で削り出している。
広大な農園風景が広がる山形で、その座面は制作された。
木造建築の三次元加工において先駆的な存在であるShelterと、地元の木工企業であるウッドマイスターがその加工を手掛けている。
有機的な座面形状は、人の感覚によって描かれた輪郭を、コンピューターが精度をもってかたちにすることで成立している。
建築資材スケールの三次元加工を日常的に扱う技術環境の中では、この座面のような造形も高い精度で比較的短時間に加工することができる。
家具のスケールに、建築に近い制作環境が関わっていることも、この作品の特徴のひとつである。
脚部は、ベースプレートに丸鋼を溶接し、それらを嵌め込むことで一体の構造としている。
この脚の溶接は、茨城を拠点とする鉄工所・あずま工房が手掛けた。
主宰の東弘一郎は、自らの制作活動も行うつくり手であり、工房には数多くの制作図面や資材が並んでいる。
工業的な精度と、個人の制作に近い熱量が同居するその環境もまた、このスツールの輪郭を支えている。
柳宗理のバタフライスツールがそうであるように、
この作品でも、機械制御と人の手を対立するものとしてではなく、それぞれが最も力を発揮する場所に配置することを考えた。
造形だけでなく、コストやスケジュールを含めた現実性まで設計することも、この作品の重要な態度である。