空間と文脈のあいだに、その場所だけの物語を描く。
Stories shaped by place, between space and context.

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Almost Ground - Sigiriya Stool
ほとんど地面 - シギリヤスツール


2025.1-2026.4



Almost Ground は、土を介して生まれるシリーズである。

陶芸家・木村達哉、左官職人・大橋和彰、建築家・中村幸介。
異なる領域をもつ三者が、土という素材を共通言語にしながら、家具と建築、工芸と空間のあいだにある輪郭を探っている。

木村は土を探し、焼き、歴史や文脈と交流する。
大橋は土を塗り、暮らしの手触りを問い直す。
中村は土に触れ、質感を空間に落とし込む。その制作のプロセスは、ものづくりというよりもセッションに近い。

Almost Ground が目指すのは、地面そのものをつくることではない。
風景の記憶や手の痕跡によって、空間の重心を大きく変えるような“地面のようなもの” を生活の中に立ち上げることである。

Sigiriya Stool - このスツールの纏う雰囲気は、質感という切り口から考え始めた。

2025年、スリランカを旅した際、シギリアを訪れた。
ジャングルの中から巨大な岩山が立ち上がり、大地が空中に浮かび上がるような風景である。その雄大な印象を、家具という小さなスケールの中に残したいと思った。

有機的な座面の輪郭は、ジャングルの中に浮かぶシギリアロックの風景をなぞるように生まれている。
同時に、その上に登ったときに感じた不思議な安心感も、このスツールの座り心地として表現したい要素のひとつであった。この作品は、そうした風景の記憶から始まった。

その質感を形にする素材として、土に着目した。陶芸家が土を探し、左官職人が仕上げる。二人の手を重ねることで、新しい質感を生み出すことを目指した。

陶芸家・木村達哉は、陶芸の文脈から少し外れた土を選んだ。焼き物の土は、水簸によって粒子を整え、焼成に耐える組成をつくりながら扱われてきた。
また日本の焼き物の産地は、土の質だけでなく、物流や交通の要衝に位置することで発展してきた。素材、技術、そして流通。そうした条件の重なりが、焼き物の文化を形づくってきた。

しかし木村は、その文脈から少し距離を置く。斜面に穴を掘る穴窯で焼成を行い、土や火だけでなく、地形や風を含めた環境そのものと向き合いながら制作を続けている。
全国を歩き、自らの身体の感覚で「面白い」と感じた土を探してきた。それは、焼き物としての完成を前提に選ばれた土ではない。むしろ用途や歴史からいったん解放された、素材としての土である。

その土の仕上げを担ったのが、左官職人の大橋和彰である。自らを「Texture mania」と称するほど、質感に強い関心を持つ職人である。
彼のアトリエを訪れると、左官という仕事が単なる仕上げではなく、暮らしの手触りそのものを問い直す行為であることに気づかされる。
そこには、現代において生活とは何であったのかを立ち止まって考えさせる力がある。

大橋の左官サンプルを見た木村は、自ら穴窯で焼いた土を砕き、そのチップを左官材に混ぜ込めないかと提案した。
素材を介したやり取りは、まるでセッションのようであった。最終的に私たちは、いくつかの試作を重ねながら、焼き土の混ざり方や質感の関係を構成し、このスツールの表情として形に定めた。

このスツールは、家具と建築、工芸と空間、そのあいだに置かれている。素材の記憶、手の痕跡、そして空間のスケールが重なり合い、その輪郭が形づくられている。

それは座るための道具であると同時に、空間の質感や重心を静かに変える存在でもある。建築が壁や柱によって空間をつくるように、小さな物もまた、生活の中で空間の輪郭を形づくっている。

このスツールは、その関係を確かめるための、ひとつの試みである。

Almost Ground - Sigiriya Stool

Color : Grey beige, Pink
Price  : 380,000yen (+tax,shipping)
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2025.1-2026.4
Stool finished soil
Material : soil, wood, steel
Partner  : Tatsuya Kimura, Kazuaki Ohashi, Shelter, Azuma Kobo
Special thanks  : Yoichiro Sakai




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